お灸の起源
お灸は約 3000 年前に中国で発明された民間療法の一つです。
日本には 6 世紀頃に仏教とともに伝わったとされています。
一説には弘法大師空海が唐より持ち帰ったという説もあります。
その後日本では庶民の間でもブームになり、古典文学にもたびたび登場するくらい親しまれた治療法でした。
お灸とは
お灸とは、人間の身体にある経穴(ツボ)にもぐさを置いて燃やし、温熱よってツボを刺激することで身体を内側から整える治療法です。
原料のもぐさはヨモギの葉の裏にある白い線毛を精製したものです。
ヨモギはヨーロッパでは“ハーブの女王”といわれるほど、様々な効果のある薬草で、食物繊維、クロロフィル(葉緑素)、ミネラルが豊富で浄血増血作用のほか、止血作用もある万能薬です。
昔は庶民にも親しまれていたお灸ですが、若者の間ではあまりなじみがなくお灸を体験したことがない方も多いのが現状です。
その理由はいくつか考えられますが、お灸は熱い、やけどをするなど、治療としては刺激が強すぎる印象があったり、“悪いことをしたらお灸をすえる”など、罰のようなイメージを持たれているのもその一因でしょう。
確かに昔のお灸は熱い刺激でやけどを作り、皮膚を化膿させて膿を出すという治療方法がとられていました。
しかし近年のお灸は、やけどのあとを残さないように適度な温熱刺激を与える手法が主流になっており、心地よい温かさでツボを刺激してくれる安全で安心な治療法になっています。
火が怖いという方は火を使わないお灸もありますので、ぜひ一度お試しください。
お灸の効果
お灸の効果はいくつかありますが、一つ一つ見ていきましょう。
★血行がよくなり免疫力がアップ
お灸によって、身体に温熱刺激を与えることによって皮膚の下にある筋肉やリンパ節が刺激されます。その影響により細胞の活動が活発になり、同様に血管の収縮・拡張が活発になります。
結果、血行が促進され、全身の血液循環が良くなります。
血液循環が良くなることで全身に必要な酸素や栄養素がいきわたり、身体が活動的になります。
また、リンパの流れがよくなることで、老廃物の回収や排出もスムーズになり、ウィルスなどに対する抵抗力もあがります。
このようにお灸による温熱効果により、筋肉や血管、リンパ節が活動的になることで細胞が活性化され、免疫力がアップします。
そして、自己治癒力を高め、病気にならない体を作ります。
★むくみの解消
お灸の温熱刺激でリンパの流れがよくなることにより、むくみの解消にもつながります。
むくみの原因の一つは、水分や老廃物の排出機能が落ちているためです。
血液の循環によって身体の隅々まで酸素や栄養素が届き細胞が活動したあと、不要になった水分や老廃物は静脈血やリンパ液によって運ばれて排出されます。
リンパ液によって運ばれた老廃物はリンパ節で分解して排出される仕組みになっています。
血流やリンパの流れが悪いと不要な水分や老廃物がたまってむくみが発生します。
オフィスワークなど、同じ姿勢やあまり動かない仕事をしていると、細胞の活動が低下したり、身体の一部分が圧迫されたりして、血流やリンパの流れが悪くなりむくみが発生します。
また、冬場は筋肉の動きや血管の動きが低下するので、血流やリンパの流れが悪くなり、むくみやすくなります。
お灸によって血行やリンパの流れを良くすることでむくみの解消につながります。
★鎮痛
お灸に使用されるもぐさには、有効成分としてシネオールという精油成分が含まれています。
ヨモギやユーカリなどに含まれる成分で、強力な消毒・殺菌・鎮痛作用などがあります。
お灸によってこの精油成分が皮膚の表面から身体の内部に浸透することで、痛みを和らげる効果があると言われています。
なお、シネオールはお灸を燃やした際の煙にも含まれています。
★リラックス効果
お灸で使用するもぐさの煙にはリラックス効果があると言われています。
女性の方はアロマテラピーなど、香りによってリラックスできる効果を実感されている方も多いと思いますが、もぐさにも同様の効果があります。
もぐさには精油成分として、テルペン、シネオール、ツヨン、コリン、アデニン等が含まれています。
その中のテルペンの香りには、副交感神経を活性化させる効果が観察されており、副交感神経優位になることでリラックスした気分になることができます。
このように、お灸には温熱刺激や香りにより様々な効果があると言われています。
当院の詳しいお灸治療の内容については、
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